治療の流れ

1月の末にアップした「治療法の原点」の続きに位置するブログだ。

本丸である治療法の中身だが、ここに来院される方の殆どは、身体に痛みを訴えている。
それも骨格、筋肉系由来の痛みである。まれに内臓系のもあるが、当院では適応外の場合もあるので、すぐにかかりつけ医に相談されるようお勧めしている。

初めていらした方は問診票を記入する所から入るが、当院では問診票に文字が多い。これは始めの時点で当院からのメッセージや治療コンセプトをご理解して頂きたい為にである。

そしてそれを元に実際の問診に入るのだが、私は問診の時間がかなり長い。
これは鍼灸科を卒業した後の研修時代に問診を徹底された経験が大きい。問診が中途半端だと担当教員から激しい突っ込みが入るからだ。

「これでは具体的な姿がイメージ出来ない!」と。

なぜならこの問診が最も大切なのだが、初めの段階で当院での治療が適応が否かを判断しなければならない。そして痛みなどの不調が起きてから現在までのいきさつを知りたいのである。医療機関を受診していればそれも正直に教えて欲しい。
そして現在は何処をどうすると痛みがあるのか、逆にどういった時は痛くないのか、朝と晩や週明けと週末で痛みが変化するのかなどケースバイケースであるが聞いていく。
治療箇所が他にあればそれも同じく聞いていく。それによって大まかな全体像をイメージし、問診の段階でおおよその原因や、それに関連している部位の見当をつけて説明する。

そして次に検査に入る。
検査といっても主に徒手を用いて患部の熱感の有無や患部の圧痛、または動作時痛や関節可動域などチェックしながら身体の中で痛みのある部位を中心に、どういった動きで痛みが出るのか?その時の関節可動域はどれくらいか?他のどの部位と関連しているのか、又は全く訴えていない部位に原因となっている箇所は無いか、身体を立体的に診ながら探っていく。

検査を行いながら調整出来る箇所はその都度やってみて、身体の反応を見る。
反応があればそこは原因の一つだし、無ければ他を試してみる。
検査は問診時との見立てと比べながら行うが、見立て通りであればそれで良いし、そこで差があれば全体像を修正していく。

ここまで早くて30分、長いと1時間、最長で1時間半だっただろうか。

次に干渉波などの物理療法に取り掛かり、その後は手技となる。
手技は指圧、筋膜神経リリース、マッサージ、ストレッチ、関節矯正など行い、そこで再度患部の状態や、治療前の状態と比較し、改善度合いの確認を行う。更には状態によっては鍼灸治療や他の物理療法機器を用いる事もある。

当院では多くの患者さんに鍼治療を行っている。私自身がこの業界に入るきっかけは鍼治療を受けたのが1番の理由で、その効果をより多くの方に体験して欲しいという願望もある。
一般的に鍼と言うと、「費用が高い」「痛いのでは?」という不安をお持ちの方が多い。もちろん未体験の方も多いので、そういったイメージがあるのはごもっともだ。
当院では鍼1本が120円で行っており、しかも治療の「+α」という形で用いるので、大体2~12本くらい用いる場合が多い。
鍼治療=数千円掛かるのでは?と思っている方が多いが、それと比較したらリーズナブルな価格である。
(鍼のみの治療が好みの方には「鍼コース」もある。30分¥3000となっている)
また刺すときの痛みに関しては、当院では日本製の「セイリン」社の鍼を使用しており、ステンレス鍼では世界最高品質である。セイリン製の鍼先を顕微鏡で見ると、先端は尖っておらず、楕円形をしている。それによって皮膚面や内部への刺激をマイルドにしてあるので多少の刺激はあるのもも、殆どの患者さんは「思ったより痛くないのですね」とコメントされる。


ちなみに鍼は用途に応じて長さや太さなど種類が色々あり、当院ではおよそ10種類用意してある。
初めて体験される方には標準よりも少し細めの鍼を使用し、まずは刺激に慣れて頂くことから始める。
そして鍼治療の前後に患部の状態を確認していただいて効果を感じでもらう。それをクリアしたら鍼の太さや、刺さる深さを調整して刺激量を増やしていく。

鍼治療に関する疑問でもう1つ多いのは「鍼は何で効くのですか?」である。
鍼の効果として挙げられるものに・・・。

・患部の血流改善。
・筋肉の緊張緩和。
・免疫機能の向上。
・自律神経のバランスの均衡化。

(これらは主に西洋医学的な見方。東洋医学的には「気の流れの改善」となる)

などあるが、私が個人的に最も大きな存在理由は「患部に直接刺激を加えることが出来る」である。
つまりは手技も物理療法にしてもその刺激は身体の皮膚面を介して刺激をしているが、実際に痛みや問題が発生している部位は身体の内部にある。鍼はその内部に「直接刺激を与える」ことが出来るのである。
これは外科的手術以外は鍼しか方法が無い。とても稀な技法になる。それによって直接患部を刺激し、先ほど挙げた4つの効能という自然治癒力を、他の手技以上にアップさせるのだ。これが最大のメリットとなる。

余談になるが、治療家同士で治療談義をしている時に「こういった症状の場合はどんな治療をする?」みたいな話に必ずなるのだが、私の場合は「そのような場合は鍼を打つね」と言うと、皆は「じゃあいいよね~」と言って話が終わってしまうことが多い。その場の空気が白けてしまうのである。つまりは治療家にとっても鍼が打てるというのは症状改善にとって大きな武器になるのが分かっているのである。

もう一つ鍼治療は「鍼は痛みの改善に即効性がある」とも言われる。
これに関しては確かに効果はある。私も腰や肩が不調な時に自分で鍼を打つ。
まさに即効性を期待してだ。
それに初めて鍼を体験される方に、鍼を打つ前と打った後に痛みの確認をしてもらい、即効性を実感してもらうことを度々行っている。
しかしこれは人によっても体感度合いが違うし、症状によっては効果が乏しい場合もあるので、「全てにおいて即効性がある」とは言えない。

むしろ鍼の1番の得意分野は「未病の治療」である。

未病というのは東洋医学でいう「病」(やまい)になる手前の状態である。
つまり明らかな痛みや不調や検査結果での陽性判定などはないが、「何かちょっと身体がおかしい」という状態が未病なのだ。この状態だと自覚の有無に関わらず特に対処はしていない方が実に多い。
このような状態の時に薬のような副作用の無い鍼が活躍するのだ。
そこが鍼の十八番である。

この未病の状態で身体メンテナンスの意識が高まると嬉しいのだが。


鍼治療の説明が長くなったが、こうして「問診→検査→治療」を一通り終えて、再度身体の状態の見立てや今後の予後や方針を伝える。

これが一連の流れである。具体的な手技の内容などはやや割愛してるのだが、前回のブログで書いた「民間療法は何をしてくれるのか分からない」という大きな疑問に対する答えに多少はなったかと思う。是非参考にして頂ければ幸いである。

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