「血統書付き」という言葉を昔は犬でよく聞いた気がする。今でもペットでは普通に使われているのだろう。
言葉の響きからプレミアが付いたり、品格が上がった気になるが、人間で言う家系図を見て祖先を辿って行くとその元はどんな犬になるのだろうか?きっと由緒正しい家系(犬系)になるに違いない。
私はこの夏からオオクワガタを飼っているが、クワガタ業界にも血統はある。
特にオオクワガタは野生の個体はめったに取れないので、市場に出回っている個体のほぼ全てがブリードされた個体なのだ。従って記録さえ残っていればその祖先を辿ることは可能で、一番の元は野生で採取された個体になる。
日本全国にオオクワガタのブリーダーさんは沢山いるのだが、どこでもこれをキッチリされている方が多い。特に産地を明確にしてある。つまり最初の個体はどの地域から採取したのかが重要で、それを掛け合わせて飼育し、子孫を増やして健在に至る。
それが最も古い場合は、この35年くらいの間にずっとブリードされ枝分かれし、〇〇血統として広まって行った。したがって血統の名称は主に地区名があてはまる。(この三重県でも津血統としてブリードされている方もいる)
ちなみに他の血統同士で掛け合わせることはタブーとされ、その場合は産地不明となり、市場でも不人気となる。
全国でも様々な産地があるのでその産地ごとに○○血統があるのだが、オオクワガタ界では3大血統と呼ばれるものがあり、能勢(大阪)、川西(兵庫)、久留米(福岡)の3つである。
オオクワガタが80㎜を越えたのは20年以上前だが、それ以降にこのレコード越えを記録してきたのがこれらの血統だからだ。
まず能勢だが、ここ10年くらいレコードを更新しているのはほとんど能勢血統で、現在市場に出回っている85㎜を越える個体は能勢血統が席捲している。
それゆえレコード更新を狙っているブリーダーさん達は能勢血統に力を入れているし、また有名ブリーダーさんの余品販売は通常よりも価格が3~5割増しになっている。
個体の特徴は長さに特化しているのでアゴの形状を含めてスラっとしている印象がある。私はまだ手にしたことが無い。
次に川西だが、こちらがレコード更新したのは随分前で現在は長さに特化してはいないが、横幅や厚みがあり、手にすると重い。長さが同じサイズであっても見た目のデカさ感が随分と違う。筋トレ界で例えるならボディビルダーみたいだ。
ウチにも82㎜♂がいるが、ゴツイ。♀も丸々している。でも警戒心が強く、こっちの気配を感じるとすぐに隠れてしまう。まったくノミの心臓だ。
最後に久留米である。こちらは能勢と川西を掛け合わせたような形状で美ボディコンテストで評価が高くバランスが取れている。筋トレ界ならフィジーカーか。
ブリーダーさんの間でも熱狂的なファンが多く、久留米血統だけのイベントもあるくらいだ。
ウチにも83㎜がいるが、一番元気である。近くで見ていてもあまり逃げないし、動く時は2時間位動き回っている。先日はケースの天井に張り付いていてビックリした。九州男児は豪快である。
ここで素人なりの疑問として「他の血統ではレコード更新を狙うような大型個体は出ないのか?」がある。
確かに今は飼育環境やエサなどが研究され、どうすれば大型が出るのかは結構分かってきているようだ。つまり他の血統でも、その血統の大きなサイズ同士で交配を続けていけばやがて80㎜を越えるような個体は出るようである。
但しそこに行き着くには相当の年月が掛かるし、無理に大型化させようとすると羽化不全などのリスクもある。更には大型になるDNAも重要だ。しかも試行錯誤している間も、特に能勢血統などはもっと大型化しているはずだ。つまりいつまで経ってもサイズで追い付けない。
したがってレコード狙いは大型血統に任せて、他の血統はその血統独自の形状に磨きをかけ、よりそれらしい綺麗な個体を出すことに専念しているようだ。
ちなみにウチで飼っているのは岡山血統♂♀、久留米血統♂、川西血統♂♀の計5頭だ。
久留米の83㎜は購入したショップが血統書を付けてくれた。
もうこれ以上は増やせないので、仮にどれかがお亡くなりになったら、その後に能勢血統を入手してみようかと思っているが、そんな事ばかり考えていたら今のメンツ達に失礼なので、とりあえず精一杯飼育する所存である。
画像はサムネイルが岡山♂、2枚目が久留米♂、3枚目川西♀、4枚目川西♂、5枚目は自宅の中で玄関の土間が一番涼しいので、猛暑時はここに置いてある。
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