赤道直下の暴君

しれっと我が家に加わった仲間がいる。

スマトラオオヒラタクワガタだ。
その名の通り赤道直下のスマトラ島に生息していて、見た目のカッコ良さと大きさで外国産クワガタの中で大人気である。
初めて見たのは何年も前だが、確か近所にあるコメリのペット館で売られていた。小さいプリンカップに入っていたのだが、その大きさにビックリした。90㎜くらいはあっただろうか。
こんなデカイのを子供達がちゃんと飼えるのだろうか?売る側もそれなりに責任があるのでは?とあまりのインパクトの大きさゆえにその時に思った。
松阪インター近くの専門店「クワガタ横丁」には100㎜を越える個体も売られている。ここまでデカイとあのガラケーを畳んだくらいの大きさがある。挟まれたら血が出そうだ。

時は流れ、昨年から国産オオクワガタを飼い始めた。
実はその少し後にスマトラには興味があったのだが、まだまだ飼育の経験が浅いので見送った。
なぜなら越冬はするが、冬眠はしない。
つまり1年中気温が一定の熱帯に生息しているので、冬眠の習慣がないのだ。従って冬でも飼育環境を温める装置がないと死んでしまう。
その時点でオオクワガタでさえ真夏も真冬も経験していなかったので、まずはまずはそこだろうと。
そして1年近く経験を積んだ所で、いよいよ挑戦してみることにした。

と、その前に生態系を調べてみた。まずは
・デカイ(力が強い)
・気性が荒い。
・大食漢。
・寿命は最長約2年。
・日本の真夏と晩秋以降の低温に適さない。などなど

問題は最後である。
冬に加温が必要なのは昨年知ったが、真夏もダメなのだ。
もちろん国産オオクワガタも30℃以上はダメだが、スマトラはもっと繊細らしい。
赤道直下の南国産というと暑さに強いという先入観があるが、標高800mくらいの高地が生息域なのだ。平地の平均気温は32℃~22℃なので、標高が800mあると、それより常時8℃くらい低い。
つまり24℃~14℃の間が適温となる。(最低気温時は木の中にいるだろうからもう少し暖かいだろう)
そしてスマトラ島は四季が無いので1年中この気温で安定した状態となっている。
従って外国産の昆虫を飼っている人の多くは室温を一定にする為、エアコンを年中かけているか、夏はワインセラーなどに入れて暑さを避ける。逆に冬は温室を作り、20~22℃の一定温度にセッティングしてその中で飼っている。

さあ困った。我が家は夏が非常に暑い!
昨年の夏は玄関の土間に新聞紙を敷いて、その上で飼っており、ケースの隙間に保冷剤を複数置いて、何とか30℃以内に収めていた。更に真夏のピーク時は発泡スチロールのケースに飼育ケースを入れて、中に保冷剤を置き、暑さを凌いでいた。
ただ保冷剤を置くと言っても、置いて直ぐは温度が下がるが、時間が経過すれば氷が溶けていくのでその効果は薄れていく。つまり一定温度にはならない。
それに蓋をしっかり閉めてしまうと温度が下がり過ぎてしまうので、蓋ズラしてを乗せるくらいで丁度良かった。つまり30℃以下に抑えても温度が目まぐるしく変化してしまっては個体に負担が掛かる。
その辺の加減が難しかった。

ただ国産オオクワガタは頑丈である。真夏はそうやって過ごし、真冬も下駄箱の中段に置いていたが(気温は約9~10℃)全員冬は越し、今は元気にエサを食べている。国産なので自然環境に適しているのは当然なのだが、この生命力は凄いと思う。

で、見た目のゴツさとは裏腹に温度変化にデリケートなスマトラだが、常温飼育が可能な4月の中旬にネットで購入した。
隣の滋賀県からやって来たそいつは全長は97.2㎜。100㎜を越える個体も沢山売られているが、大台は次回に取っておくことにした。それでもウチの83㎜の久留米と比較しても普通車とハイエースくらいの違いがありそうだ。

開けてビックリ、気性が荒いのそのままだ。
指で掴もうとしても、こちらに向かって威嚇してくる。背後の死角からそっと掴まないと、迂闊に手をだしたら挟まれそうだ。怖いのなんのって。
大きさの比較の為にオオクワガタと撮影しようと思ったが、危ない予感がするので止めておいた。

飼育ケースをセッティングしている間もじっとしていることは無く、トコトコ何処かに行ってしまう。見ていないと行方不明になる程だ。オオクワガタはケース内の掃除などで別の場所にそっと置いたら、その近くにある物の下にササっと隠れてしまうがスマトラは全く違った。恐らく環境が変わって興奮状態なのだろう。
飼育ケースに入れた後もずっと動き回っていた。

数日経過し色々分かってきた。まず驚いたのが昼行性なのだ。
普通この手の昆虫は夜行性なので主に夜中に動き、私が起床した時には木片や落ち葉の下でじっとしている。ただケース内の様子(散らかり度合いやエサの減り具合)で、夜中に動き回っていたことが分かる感じだ。
一方のスマトラは明るい時間帯に「動く」「エサを食べる」「昼寝をする」のどれかで、夜になると寝てしまう。私が仕事を終えて帰宅するともう寝ている。行動が大変分かり易い。
人間的に昼行性である私の嫁さんも、オオクワガタの動く姿を見る事はほとんど出来ないので、そこがイマイチらしいのだが、スマトラは昼に動いているので、それを観察するのは面白いようだ。

動き回る時もケース内を所狭しと動き回り、エサである16gのゼリーを与えても1日でペロリと食べてしまう。ケースを開けてエサを与えたり、中を掃除しようとしても、こちらにハサミを振り上げて威嚇してくる。油断していたたら本当に挟まれそうだ。
私に懐くという感じや、逆に警戒心で逃げる様子はない。闘争心むき出しの暴君クワガタだ。

さて、この暴君だが、当面は常温飼育で問題ない。しかし梅雨明け以降の真夏はどうするか?

スマトラ島の気温は前述したが、実は東京や福岡の8月平均気温もほぼ同じなのである。
ただクワガタ達は当然市街地ではなく、その多くは自然豊かな山奥で生息しているので、そこの気温はもう少し下がるだろう。
でもそれを差し引いて考えても、真夏の環境に関してはスマトラ島と日本のこの辺とあまり大差は無いのでは?とも思える。それに南国でも猛暑日があるだろうし。
だからオオクワガタと一緒にしていても大丈夫そうだ。
しかし異邦人には違いない。身体に負担が掛かって弱ってしまう可能性もあるからそこが悩ましい。

もうこうなったらエアコンの効いている接骨院に持ってきて、この中で涼しく静かな場所に置いておくのが1番無難なも知れない。
という訳で、盛夏時は接骨院のどこかに飼育ケースが置かれているだろう。


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