私にはかつて雷魚釣りの師匠がいた。
ひょんなことから知り合った。
年齢は2つくらい上だろうか?聞いたことが無いので実は知らない(笑)
今でこそ雷魚ゲームとはこうあるべし、と偉そうにブログで書いているが、その師匠と出会った頃の私は、今を思えば、まだ初心者に毛の生えた程度のハナタレであった。
彼はその時点で釣りの経験年数が25年以上はあり、いわゆる経験、実績共にエキスパートと呼ばれるようなレベルにあった。そしてその実力を私と同行した釣りで遺憾なく発揮し、私に雷魚ゲームは何たるかを実践で証明すると共に、様々なことを教えてくれた。目から鱗の驚きの連続であった。
私の地元や遠征先でも何度も一緒に釣りをしたが、師匠の釣りで印象に残った事が幾つかあった。
1つは地元のフィールドに何か所か案内した時のことだ。私はそれらのフィールドの状態をある程度は把握しているので、一番実績のある、その時点で良さそうなポイントを案内するのだが、師匠はたとえそのようなポイントであっても、釣れないと判断すると、たった3分くらいで戻ってくることもあった。理由を聞くと「気配が無い」とのこと。
私であれば、過去に実績があり、尚且つその時に雰囲気の良いポイントに入れば最低でも15分以上は手を変え品を変え様子を見るのだが(規模の大きさにもよる)、師匠は僅かな時間でそこの良し悪しを見切るのだ。
また、明らかに良さそうなポイントでも、多くの人が入りそうなポイントには入ろうとはしなかった。そういった所は雰囲気は良くても魚は確実にスレているから、なかなか釣れない。従って時間の無駄だと判断する訳だ。
これらは主に時間の限られた遠征をする時に、経験的に身に付けた物ではないかと推測した。釣れないポイントで粘っても結局釣れず、時間の無駄になることが実に多いからだ。地元であれば何度も通うことが可能だが、遠征ではこれが命取りとなってしまう。
私はその判断の甘さから遠征先で何度も痛い目にあってきた。
もう1つ印象に残っていたことは、これまた地元での出来事だが、実績はあるが、なかなか釣れないフィールドに案内した時のことだ。その池は地元の雷魚マンでも、1本でも釣れれば「あの池で釣ったのか?」と仲間内で思われる程の難攻不落の場所があった。
彼はその池に入るやいなや、わずか3分程で雷魚を釣ってしまった。
その直前に「じゃあ、お互いあっちとこっちで二手に分かれて釣りましょう」と話をして釣り始めた直後のことだった。
私は彼から少し離れた場所に入って、周囲の様子を伺っていたら何か音がするので、ふと見たら、彼が雷魚とファイトしているではないか!
直ぐに駆けつけ「どうやって釣ったのか?」と聞くと「呼吸に上がってきたので狙った」とあっさり答えた。80㎝近い雷魚だった。そう簡単には釣れる個体ではない。
雷魚ゲームでは、呼吸に上がってきた個体を狙い撃ちして釣る方法がある。理屈では分かることだが、地元の人間でもなかなか釣れない池で、ここまで鮮やかに釣ってしまうことが信じられなかった。
あと、経験豊富なのにとても謙虚なことだ。
通常あれ程の経験と実績があると、自分の選んだ方法に自信を持っているので、周りのやり方や考え方に左右されることは少ないのだが、彼は自分が釣れない、又は他の人が釣れている状況になると、すかさずその方法を参考にし、自らの結果に繋げてしまうことだった。
普通はプライドが邪魔をしてそういったことは出来ないものだ。彼は常に謙虚であり貪欲であった。
そんな師匠であるが、もう10年近く会っていない。それどころか今は音信不通となっている。元気にしているだろうか?まあ恐らく大丈夫だろう。きっと今日も何処かで釣りをしているハズだ。そして周りの人が唖然とするほど釣っているに違いない・・・(@_@)
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