リベンジマッチ

日常の中では幸いにして色々なリベンジマッチが存在するが、今回は釣りの話である。

雷魚をやっていて不思議に思うことが沢山あるが、その1つに「リベンジマッチが成功しない」という事がある。

それは、ある時ある場所で釣りをやっていて、そこそこと思われるサイズを掛けたのにバラしてしまうと、悔しさの余り「もう1回!」と思うのだが(誰でもそう思う。逃がしたサイズが大きければ大きい程)、雷魚に関しては、そのチャンスが殆ど巡ってこないことが多い。

つまりどういう事かと言うと、例えば野池の場合、その池で生息する大きいサイズの魚ほど、その池の中の一等地に陣取っていることが多い。
つまりは水が綺麗で、地形変化や障害物など身を隠す物があり、かつエサが豊富な場所などを好む。
従って、それらを読み取ることが出来れば、釣りをしながら、どの場所をどう攻めれば大型が釣れるのか?ということが分かってくる。(実際はそんな上手く行かないが・・・)

私の過去の経験では、ブラックバスはその傾向が強くあり、結構良いサイズのブラックバスを掛けたのにバラしてしまったが、その1週間か10日後に、同じ場所を同じ様に攻めて、再び同じと思われるブラックバスを釣り、リベンジマッチを成功させたことが何度かある。
ちなみに同じ肉食のナマズは、夕方(夜行性なので)になると、エサを探しに縄張りのエリアをウロウロと回遊するので、活動範囲は広くなるのだが、ある程度その個体によってのルートは決まっていると思う。従ってその回遊ルートが分かれば、狙って釣ることが可能となる。ただナマズはそこまで数を釣っていないので仮定の話であるが。

ところが雷魚は不思議とそう上手くは行かない。
理由は陣取る範囲が気まぐれで限定しずらいことや、回遊するスピードが思った以上に速いこと。他には警戒心が非常に高い魚なので、一度バラすと、暫くの間は同じ方法では釣れないことが理由としてあると思う。
私の感覚だが、一度釣り針が掛かった雷魚は、仮に釣り上げる途中で外れたとしても、それを1年くらいは覚えているのではないだろうか。(もちろん個体差はある)つまり雷魚に関しては、結構良さそうなサイズをバラしてしまったので、次回にもう1回勝負!と必死になって実行した所で、警戒されて全く相手にされない。又はもうそこには居ない、ということばかりなのだ。これまでにリベンジマッチが成功したことは、はっきり覚えているのは1度しかないくらいだ。

ところが先日2度目?のリベンジマッチに成功した。しかも数年越しの3度目の正直である。

そこは、私が10年以上前からシーズン中に1回だけ行っている野池での話だ。
その池の一角に、水生植物のカバーがゴチャゴチャっとした所があり、そこに居ついている雷魚がいる。見る人が見ればすぐに分かる怪しいポイントだ。

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数年前のある日、そこの護岸された高い足場から、真下にある水面のカバーの様子を見ていると、それっぽい気配があった。そっとフロッグを送り込むと、静かな音で吸い込むようにフロッグを持ち込んだ。その喰い方から私は直感的に小型(50㎝くらい)だと思い、魚体を飛ばさないようソフトにフッキングした。
ところがその直後、真上にフッキングした勢いで水面に顔を出したのは70㎝を軽くオーバーするような魚体だった。「おおっ!」と思ったの一瞬で、フッキングが柔かったせいで、直ぐにバラしてしまった。

しまった・・・(T_T)

小型と判断した自分を悔やんだが後の祭りである。もうそのシーズンは喰わないだろう。また来年にリベンジしようと誓った。

ということで、その1年後の同じ時期に訪れたが、その年は反応が無かった。警戒しているのか、ご不在なのかは分からない。それ以降も毎年シーズンに1回だけ、ヤツが喰ってくるのを期待してその池を訪れた。
なぜシーズンに1回だけかと言うと、そこに必ず居るかも知れないが、何度も同じ場所を叩いて雷魚にストレスを与えたくないからだ。

そして動きがあったのは4年後くらいだった。
その年も同じように1回だけポイントに足を運んだ。カバーの状態もまずまずだ。近づくことによって警戒されないよう私は10mくらい離れた位置からそっとカバー際にフロッグを送り込んだ。
うまい具合に着水した直後、水面に小さくうねりが見えた。
近くにいた雷魚がフロッグの真下に付いた動きだ。
直感的にこれは喰うぞと判断。自分の体勢を整えフッキングの準備をする。しかし直ぐには喰わないので、僅かに「チョン」と動きを加えると、鈍い捕食音と共にフロッグが消えた。
タイミングを計ってフッキングを行うと、何と手前に飛んできてしまった。雷魚がこっちを向いていたのだろう。
手前に飛ばしてしまうと魚体が着水直後にラインがたるんでしまって、その隙にフックが緩みバラしてしまうことがある。
この時はまさにその通りで「ヤバイ!」と思った瞬間にはもう逃げられてしまった。

しまった・・・(T_T)

何年か振りの、千載一遇のチャンスだったのにまた失敗してしまった。
再び悔やんだが、手前に飛んでしまうのは運だから仕方がないと気持ちを切り替えた。
それにしても今回は初めて魚体全体を見たが、やはり70㎝後半はありそうな大きさで健全な個体に見えた。ますます釣ってみたくなったが、勝負はまた来年以降に持ち越しとなった。

しかし私が勝手に「来年」と思っているが、その間はどうなるか分からない。他の誰かに釣られるかも知れない。扱いが丁寧な人なら良いが、そうでなければ大きなダメージを負うかも知れない。(釣り針が外せずに糸を切ってリリースした、という話は枚挙にいとまが無い。釣り人として最低限のモラルが無い人も残念ながら一定数いる)
しかも足場が高い所なので、釣り糸が細ければ掛かった後に切れてしまうこともある。そうなったら口にルアーが掛かったままになり、エサが喰えず、死に至るかも知れない。仮に釣られなかったとしても、寿命を迎えることもあるし、池が水抜きされて死んでしまうかも知れない。
リベンジマッチとか勝手に言っているが、そういった様々な条件を乗り越えてくれないと出来ないことだ。これまでここで釣りをやってこれたことには感謝しかないし、これから先もそうあって欲しい。

翌年は水が減水していて、例年とは雰囲気は異なっていた。一応慎重に探ってみたが、気配も反応も無かった。水中の様子はどうだったかは分からない。

そしてその翌年つまり今年、例年より1週間早かったが、また訪れた。
その日は、日の出と共に開拓に出かけ、1つ目の池でちょっとした成果を得た後、その野池がルート上にあったので2つ目の池として訪れた。
今年は池のあちこちにカバーが生えていたので、色々攻めてみたが、反応は1つもなかったので、結局いつものポイントに行った。果たして今年はどうか?
例によって距離の離れた位置から静かに探ったが、これといった反応が得られないので、こちらの気配を殺しながら少しづつ近づき、至近距離から様子を伺う。
カバーの状態や水の色や水位は問題無いので、あとは居るかどうか?
だが、全く無反応。
しかし雰囲気は良いので、投げずに石化けしていると、1本の雷魚が真下で呼吸に上がってきた。

「いた・・・」

すかさずそのピンポイントに小型フロッグを送り込む。すると水面の動きから喰ってくる気配があるので身構えた所に鈍い捕食音が響いた。

非常に良く暴れたが、動きが落ち着くのを待ち、足場が高いので慎重に抜き上げ、草の上に横たえた。

やった・・・(^^)v

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80㎝には満たないが、想像していた通りの個体だった。
老成魚に見えるが、暴れっぷりからすると、今まであまり釣られてこなかったのではないだろうか。フックを外す時に唇や口腔内を確認したが、信じられないことにフックの古傷など全く見られず綺麗な状態だった。とても嬉しかった。

今まで私の相手をしてくれたのはこの雷魚だったのだろうか?本当の所は分らないが、きっとそうだと思う。ようやく姿を拝めることが出来た。

雷魚の寿命は約10年と言われるが、あとどれくらい生きるのだろう?
俺はもう釣らないから天寿を全うして欲しいと思いながらリリースした。

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