今回はぎっくり腰から話を進めて、腰痛の不思議について書いていきたいと思う。
私のような治療家にとって腰痛とは実に難しくもあるし、また挑戦しがいのある疾病である。当の私もこれまでのスポーツ好きがたたって腰痛は何度も発症しているし、今でも日々のケアは欠かさない・・・(^_^;)
今から何年か前に、日本の整形外科学会から衝撃の発表があった。それは何と「腰痛の8割以上は原因が不明」ということだった。そして「腰痛は精神的なストレスとの関連性が高い」とも。
これは私のような正体が誰だか分からない治療家が言ったのでは無く、社会的にはエリートの集団であるドクターの学会が発表したのだ。
発表された内容は、私のように腰痛と日々向き合っている治療家であれば薄々分かっていたことだが、まさか8割も?と思った。これでは半分以上サジを投げたようなもんである。
しかし腰痛でも、原因が腰そのものにある場合もあるし、たとえ原因が腰以外にあっても、とりあえず腰を治療していれば、少なくともある程度は改善することが多い。だが、これが本当だとすれば、それだけでは根本改善には至らず片手落ちになるということだ。
以前NHKの番組で実験をやっていたが、腰痛のグループ10人くらいと、腰痛でないグループ10人くらいを集めて、画像診断すると、画像では陽性で、腰痛があるだろうと思われるのに、全く腰痛の無い方がいたり、またその逆の方が何人もいた。つまり画像だけでは腰痛の有無を判断出来ないという結果が出ていた。他の実験では、同じ重さの白い段ボール箱と、黒い段ボール箱を運んだ場合に、黒い段ボール箱の方が腰痛が多く出た。ようは「見た目」の印象が精神的ストレスとなり、腰痛に繋がっていたということだ。
ではそれは何を意味するのか?
レントゲンやMRIなど画像検査や、患部の状態や動きのチェックなどを行っただけでは、腰痛の本当の原因は正確には分らないということだ。(勿論、全てではないが)
そう、私も確かに分からないことが多い。
但しそれは腰だけを見ていた場合だ。従って賢明な治療家の多くは腰に囚われず、身体全体のパーツに目を向ける。すると腰痛の原因を引き起こしている犯人が分かってくる。(私が述べているのは、あくまで個人治療家が対応出来る範囲での腰痛)
つまり腰というのは、読んで字の如く身体の「要」である為に、構造上、色々な箇所の負担が掛かってくる部位なのだ。ついでに言うと精神面の負担も影響している(これは腰に限った話ではないが)。
従って腰というパーツは頻繁にいじめられていて、その反面、いじめている犯人がどこかにいるのだ。それを見つけることが根本的な解決となる。
つまり治療家にとってその犯人を見つける作業がウデの見せ所なのだが、私は少々時間が掛かる。それは高いスキルが必要とするからだ。恐らくカリスマ治療家なら、あっという間にそれを見つけるのだろう。
肝心の犯人は、背中やお尻など腰の近くは勿論、腕や脚にあることも多々ある。これはその人によって異なる。ちなみに東洋医学のツボで「腰腿点」という腰痛のツボがあるが、これは何と手の甲にある。中国では何千年も前からこれが分かっていたということだ。凄いな。
結局、ドクターがそれを行わないのは、単に時間と労力が無いのと、それを体系づける作業がとんでもなく複雑で、更には科学的根拠が少ないからだと思われる。だから原因不明となってしまう訳だ。
このような事柄がいずれ明らかになり、腰痛で苦しむ方が少しでも減少する日が来てほしいと思う反面、治療家として手技のアナログな部分が過去のモノとなってしまうかと思うと、いささか残念な気がする。実現すればのハナシだが・・・( ^ω^)
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